野矢茂樹(2018):大人のための国語ゼミ<増補版>、筑摩書房
概要
著者
- 野矢茂樹/立正大学文学部教授
主な対象読者
- 一般
概要
- 生活や仕事で必要な普段使いの日本語を例示して解説
背景・考え方
- 一般の人は、かつての国語の教科書にあるような名文ではなく、普段使いの実用的な文章をきちんと書き、話し、的確に理解できる力、そのような国語力を鍛えなければならない
- 相手のことを考え、相手にわかってもらえるような言葉に言い換えたり、説明を補う力が国語力である
ポイント
- 相手に理解してもらいたければ、相手のこと(ものごとや言葉の知識がどこまであるか)を考えて、話し、書く
- 事実と考えを区別し、考えはさらに推測と意見に区別しその根拠を示す
- 余計なことは書かず、話題ごとにまとめ、書く順序に注意する
- 接続詞、接続助詞などの接続表現は文章の道しるべであり、相手のことを考えて文章をきちんとつなぐ(付加、選択、換言、例示、対比、転換、補足、条件、譲歩条件、理由、帰結)
- 要約練習は、国語力を鍛えるもっとも効果的な方法
- 要約練習により、言葉の重みに対する感覚が鍛えられ、速く正確に内容が捉えられるようになる
- 文章の幹(中心的主張)と枝葉(その他の部分)の区別が重要で、要約は枝葉を切り落とし、幹を残すこと
- 何通りかの字数の異なる要約文を練習するのがよい
- 質問を考えることで読み方が能動的になり活性化する。よい質問は話の核心(幹)に迫る質問
- 互いに主張が対立する場合には、相手の論証を批判(論証の不備を示すこと)した上で、対立する主張を根拠とともに述べる。
- 国語力があれば、人を理解する努力が楽になり、さらなる努力により国語力もさらに鍛えられるという正のスパイラルに向かう
一般の大人を対象とした国語力向上の解説本であるが、特に難しくはないので、中学生以上であれば参考になる。
例題とその解答例がたくさんある。
ただ、やはり読んだだけでは身に付かないので、自分の手を動かして例題を解いてみるのがよいと思われる。
特に、要約練習については、国語力の向上に役立つはずであるので、試してもらいたい。
(以上)