齋藤孝(2021):頭のよさは国語力で決まる、だいわ文庫
概要
著者
- 齋藤孝/明治大学教授
主な対象読者
- 一般
概要
- 人間性・社会性の礎となる国語力の重要性と、国語力を鍛えるトレーニング方法について解説
背景・考え方
- 現代社会では、言葉による意志・感情のやり取りを、より精密・高速に行うことが要求されており、国語力を土台とする言語活動が重視される
- 思考力を育み、母語の運用能力を高める教科である国語は、他のすべての教科の基礎であり、人間性の基礎になる
- スピーディな問題解決が要求される時代に才能を発揮した人は、古典の素読などにより言葉と思考力を身につけた人たちであり、「新しい学力」が要求されるこれからも、そのような「伝統的な学力」を軽んじてはならない
ポイント
- 国語力の基礎は、①読解力、②文章力、③表現力
- ①読解力には知識、語彙、要約力が必要で、読書(年間100冊程度)、特に「名作」を読むことが効果的
- ②文章力の向上には、書き言葉を習得することが重要
- 論理的な文章を書くには、「型(パターン)」(対比構造、起承転結、など)に当てはめる
- 実用日本語である新聞のコラムの書き写しは、語彙、表現、構成を身につけるのに役立つ
- ③表現力には語彙を増やことが大切で、文豪の作品を音読するのが効果的
- 複雑な内容説明には、優先順位付けや構造化(文脈整理)が必要
本書は、日本語・国語力(読解力、文章力、表現力)、会話(対面力、対話力、主張力)、生きる構え(自己肯定力、感情自制力、身体感覚)という3部構成であり、書籍のタイトルよりは広い内容である。
第一部の「日本語の最重要ポイント」は、国語力の向上という観点からは参考になる。
国語力を向上するには、読書を中心に語彙・表現力を増すこと、書き言葉を身につけること、文章の構成を学ぶことなど、である。
具体的には、新聞のコラムを書き写すことが有効であるという記述は、当サイトと同意見である。
一般向けに優しく書かれている文庫本なので、受験向けの書籍ではないが、参考にしていただきたい。
(以上)