佐藤優(2018):国語ゼミ -AI時代を生き抜く集中講義、NHK出版新書554
概要
著者
- 佐藤優/作家、元外務省主席分析官
主な対象読者
- ビジネスパーソン、高校生
概要
- あらゆる教養の底をなす「国語」の本質を効率よく学ぶための独習書
背景・考え方
- 教育の基礎は母国語による「読解力」にある
- 「国語力」とは、文章の正確な読解をベースとした論理的思考力・表現力・批判力・判断力
ポイント
- 「学び」ではまず「型」を習得することが必要であり、それは「読む力」をつけること
- 基礎編として、教科書を活用した3段階の学習を行う
- 正確な読解のための「音読」と、「要約・敷衍」の学習
- 複数の記述を比較し組み合わせて説明する方法の学習
- 自らのテーマや問題意識に即した「能動的読解」の学習
- 適切な要約をつくるには、ポイントを抜き出して再構成すること、つまり敷衍(自分の言葉でわかりやすく説明)することが必要
- 応用編として、古典的名著を読み、アナロジカルな思考を働かせて現在の事象と結び付けて考察する力、つまり「類推・推論する力」を学習する
- 読書の技法として、難解な本の3回読みが有効
- 重要箇所に傍線を引く
- 特に重要な箇所を選び、ノートに書き写し、コメントを記す
- 構成を意識して結論を再度読む
本書の対象読者はビジネスパーソンのようであるが、実践編の章が武蔵高等学校・中学校での講義内容であり、高校生・受験生も参考になる内容である。
基礎編でも、複数の資料を組み合わせて、自分のテーマ・課題に沿って「能動的読解」を行うという内容は、やや難易度が高い。
それでも、小論文形式の入試などで、複数の文章から情報を整理し、自分の意見を交えて解答を作成するような問題の対策には、この本で示される例題は参考になると思う。
この書籍の「国語」の定義は、「正確な読解をベースとした論理的思考力・表現力・批判力・判断力までを含むもの」であり、示される例題は、社会で問われる国語力そのものだと思う。
自分でも例題を設定し、解答作成の練習をしてみることをお勧めしたい。
(以上)